MEISSENメモ(44):美術様式から見たマイセン磁器、「歴史主義」のご紹介

美術様式から見たマイセン磁器、「歴史主義様式」のご紹介をします。
設立以来、時代ごとに新しい様式を取り入れてきたマイセン。その作品群は、約23万種類にのぼり「様式の宝庫」ともいわれています。今回は、「歴史主義様式」を取り入れたマイセンの作品をご紹介します。「歴史主義」は、19世紀の様式で、ギリシア・ローマ、ロココ、ジャポニズムなど過去のさまざまな様式が渾然一体となっているのが特徴です。マイセンでは、19世紀半ばに起こり、ゴシック、ルネッサンス、バロック、ロココ、新古典主義が再び取り上げられ、それらが豪華絢爛に結びつけられた点に大きな特色があります。当時のヨーロッパは多くの陶磁器メーカーが誕生しており、マイセンも存亡をかけて魅力的な作品をつくり続けなければなりませんでした。そこで、さまざま様式を組み合わせた「様式の饗宴」ともいうべきスタイルが生まれました。代表作として、「宝石箱」(復刻版)をはじめ、花と果物が描かれた花瓶、華麗なコーヒーセットや飾皿などがあります。

宝石箱(復刻版)

宝石箱(復刻版)
この宝石箱は1893年のシカゴ万国博覧会に出品されたルードヴィヒ・シュトルムの作品をオリジナルとし、国立マイセン磁器製作所により復刻された、歴史主義様式の代表作です。絵柄と装飾には、細部に至るまでシンボリックな意味合いが与えられ、深遠なる世界が表現されています。胴の部分にはリモージュ画が描かれ、縁の部分には重厚な金彩装飾が施されています。中央にはめ込まれた磁器プレートの絵柄は、パト・シュール・パトという高度な技術を用いて描かれた非常に繊細なものです。頂部の装飾は「ジュノー(天の女王のシンボル)とジャック(満点の星空のシンボル)」と題されています。この作品に施された絵柄と装飾には、細部に至るまでシンボリックな意味合いが与えられ、深遠なる世界が表現されています。例えば、正面に描かれたアフロディーテ(ヴィーナス)は、愛と実り、純粋と美の象徴。その横に描かれたアモールの持つ鏡は、虚栄心や独断、自己認識を意味し、装飾すべてが神話的な意味を持っています。この復刻には、多くのアーティストたちの力が結集され、完成までには数年の歳月を待たねばなりませんでした。こうして甦った宝石箱は、紛れもなく第一級の、類い稀な芸術品といえるでしょう。(商品番号:81575/290000、高さ:80cm、幅:50cm、奥行:36.5cm)
 
*パト・シュール・パト
19世紀にフランスのセーブル窯で生まれ、たちまちマイセンに伝って発展した特殊技法。この技法は、磁器の下地に筆と特殊な道具を使い極めて細かく砕かれた白い磁土をのせていくものです。塗り重ねる厚さにより表情は変化し、薄く塗られた部分は透明度を増して輝き、厚く塗られた部分は白く見えるといった効果があります。この特殊技法は、現在ではごくわずかな熟練の絵付師しかできないものです。
 
花瓶

花瓶
マイセンならではの、花と果物が描かれた花瓶。白磁に花とみずみずしい果物が美しく輝いています。果物文様は、マイセン磁器の数ある絵付の中でも特に人気のある柄といえるでしょう。18世紀の初めから今日まで、その高い芸術性により、絵画のような感覚で鑑賞され、収集されてきました。もともと、このような果物文様は、オランダやフランドルの絵画から習得されました。みずみずしさ溢れるその一つひとつから、まるで今にも果汁がしたたるかのような印象は、オランダの静物画に特徴的です。高いデッサン力は光と影の効果を生み出し、磁器に絵画的な奥行きを与えています。(商品番号:50398/242410、高さ:40cm)
 
 
 
 
 
 
コーヒーセット

コーヒーセット
第二ロココ様式と伝えられる、華麗なセットです。フランス宮廷の伝統と、マイセンらしさが見事な調和を見せています。マイセンで通称「第二ロココ」といわれる時代は1851年~1900年頃にあたります。1870年頃からは自然主義的な手法も生まれ、再び人気を得ていた歴史主義やルネサンス、バロック様式の重厚さに優しい趣きを添えました。マイセンには珍しい装飾の仕方で、一見ねじれて見えるロカイユ装飾のような窓枠の中に色鮮やかな花絵付けが豪華に施されています。(商品番号:251591/07582/24T)
飾皿

 
飾皿
マイセンの歴史主義の特徴の一つとして、絢爛豪華な装飾があげられます。1827年にハインリヒ・ゴットリーフ・キューンによって、上絵付後の焼成に耐え、研磨の必要のない金が生れたことも大きな影響を与えました。このような飾皿を城に飾らせることは、当時の王の権力の象徴でもありました。ロココ芸術の影響を受けた花絵付と鮮やかな色が「歴史主義の極み」ともいうべき金彩装飾によって、より一層輝きを増しています。花柄との色の対比、豪華な金彩、バロック的な重厚さの中にも、すでにロココへの移行が感じられます。(商品番号:左54130/102099、右54130/253086、径:各約30cm)
 
*マイセンの製品は、全国主要百貨店 でお求めいただけます。

MEISSENメモ(43):美術様式から見たマイセン磁器、「ビーダーマイヤー様式」のご紹介

美術様式から見たマイセン磁器、「ビーダーマイヤー様式」のご紹介をします。
設立以来、時代ごとに新しい様式を取り入れてきたマイセン。その作品群は、約23万種類にのぼり「様式の宝庫」ともいわれています。今回は、「ビーダーマイヤー様式」を取り入れたマイセンの作品をご紹介します。1815年から48年頃の様式で、作家ヴィクトール・フォン・シェッフェルが作りだした、ビーダーマンとブンメルマイヤーという人物像により名づけられました。「ビーダーマイヤー」は、当時の政情不安定な時代にあって、家庭の中に平和を見出そうとした「市民」の様式です。マイセンでは宮廷から裕福な市民階級へと愛好者が移り始めました。小さなことに幸せを見出そうとする市民の願いを表現した代表的な絵柄として、「バラ」や「小花」、愛の絆を表す「花綱」や「リボン」などがあります。




*マイセンの「バラ」について
「バラ」はドイツ人がこよなく愛する花であり、マイセンの花絵付を代表する絵柄です。ビーダーマイヤー様式の時代に生まれてから、今日まで親しまれています。質実でありながら優美なその姿は、おもてなしの席に最適です。「バラ」はギリシア・ローマの古代文明時代から「美」や「真実」の象徴として愛されてきました。ヨーロッパでは特にキリスト教の聖母マリア信仰において 「永遠の愛」を表し、以来人生のさまざまな出来事で重要な意味をもつようになりました。誕生、成人、婚約、結婚、そして死においてもバラは色を変え、形を変えて私たちに寄り添います。
 
*「小花」について
「小花」や、結婚式のヴァージンロードに散らす花をイメージした「散らし小花」は、愛と平和の象徴としてこの時代に愛好されていました。
 
*「花綱」について
色とりどりの花や葉、果物、布などをからませて綱のように弧を描かせた装飾です。リボンが結ばれている場合が多くみられます。
 
*「リボン」について
リボンは人と人を結び合わせます。そして一旦ほどかれたら二度と、まったく同じに結ぶことはできないので、ビーダーマイヤー様式においては、結ばれたリボンが人々の愛情や絆を象徴するものとして、作品に多く用いられました

MEISSEN 「冬」をテーマにしたプラークのご紹介

プラークとは「磁板画」のことです。磁器をキャンバスに見立てたかのような筆致は、時に「焼物」の常識を超え、絵画のそれに等しいほどです。マイセンでは、名画を磁器の上に再現する、という形で1753年から作られてきました。炎をくぐる焼物に、窓辺の光、花や果物のみずみずしさを再現するのは至難の技です。しかしマイセンではこの試みに果敢に挑戦してきました。そして、1960年に設立された「芸術の発展をめざすグループ」のアーティストたちによってドラマチックな発展を遂げ、まるで磁板が布製のキャンバスでもあるかのように、自由自在に絵を描き、独自の作品世界を展開しました。プラークには、マイセンが得意とするテーマ、「四季」があります。今回はその中で「冬」を表現した作品をご紹介します。雪景色をはじめ、冬の風物詩のホオズキや松などをモチーフに描いた作品は、この季節に楽しみたいプラークです。
 
*「芸術の発展をめざすグループ」について
戦後のマイセンを復興させるべく1960年に結成された集団です。設立メンバーは、ハインツ・ヴェルナー、ルードヴィッヒ・ツェプナー、ペーター・シュトラング。後にルディ・シュトレ、フォルクマール・ブレッチュナイダーが加わりました。この活動は後継のアーティストたちによって今も続けられています。

プラーク「冬」

プラーク「冬」
1987年、現代マイセンの重鎮 ハインツ・ヴェルナー教授によってつくられました。ヴェルナー教授の作品らしいメルヘンチックな風景は見るものを優しい気持ちにさせます。(商品番号:9M103/933017、サイズ:34×34cm)


プラーク「冬」

プラーク「冬」
この絵のモチーフ、町のシンボルであるライプツィヒ大学は、旧東独時代にはカール・マルクス大学と呼ばれ、この町だけではなく、ドイツの学問を代表する存在でした。古い教会と共に描くことで数百年の歴史をもつ古都の新旧の顔を抜き出しています。(商品番号:9M113/933005、サイズ:26×26cm)
プラーク「冬の花束」

 
 
 
 
 
 
 
 
プラーク「冬の花束」
現代マイセンのトップアーティストの一人、ホルスト・ブレッチュナイダーのデザインです。クリスマスローズを中心にした冬の花を白を基調に描きました。顔料を塗り重ねて独特の効果をあげています。(商品番号:9M105/932017、サイズ:22×22cm)
プラーク「冬」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
プラーク「冬」
アーティスト、ザビーネ・ワックスがデザインしました。豊かな抒情性が魅力です。(商品番号:9M769/933013、サイズ:15.5×15.5cm)
プラーク「冬」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
プラーク「冬」
ブレッチュナイダーが2012年に60歳になったことを記念してつくられた四季をテーマにしたプラークの4枚セット。この作品はその中の「冬」です。(商品番号:96210/932218A、額装サイズ:31×25.5cm)
プラーク「四季の花(冬)」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
プラーク「四季の花(冬)」
冬の風物詩として親しまれている「ホオズキ」と厳しい冬を乗り越える「松」。「松」は日本同様、ドイツでも幸福と長寿の象徴とされています。(商品番号:58350/255001WA、額装サイズ:31×26cm)


*マイセンの製品は、マイセンオンラインショップ や、アマゾン「MEISSEN MANUFACTORY SINCE 1710 」
楽天市場「マイセン磁器日本総代理店」 、または、マイセン リーガロイヤルショップ全国主要百貨店 でお求めいただけます。





  *マイセンの日本公式SNS
オンライン上でもマイセンの世界をお楽しみください。
 



カテゴリー



アーカイブ





GKジャパンエージェンシー株式会社
Copyright © GK Japan Agency Co.,ltd. All Rights Reserved.