マイセン初期の偉大な造形家、ヨハン・ヨアヒム・ケンドラーが作り上げた名作「猿の楽隊」に
新しい楽団員として、「ツィターを弾く猿」が加わりました。
マイセン初期の偉大な造形家、ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー(1706-1775)が作り上げた
名作「猿の楽隊」に、新しい楽団員として「ツィターを弾く猿」が加わりました。
この新作はマイセン磁器製作所開窯310周年を記念した作品です。
原型を制作したアーティスト、ジルケ・エーベルマンはケンドラーと同様に
フランスの歴史的な装飾芸術「サンジュリー」のデザイン画をもとにしました。
衣装の色合いは、かつてフランスのルイ15世の愛人、ポンパドゥール夫人に献呈した
「猿の楽隊」(オリジナル)と同じものです。
ツィターは美しい音色が特徴の琴に似たチロル地方の楽器。
この猿は一生懸命に演奏し見る人を楽しませようとしているかのようです。
(品番:60047/90A369、高さ:約13.5cm)
1753年にケンドラーは、「サンジュリー」のデザイン画を参考に21体の猿の演奏者と譜面台で成る
滑稽な楽隊を構想し、造形家のペーター・ライニケとともに「猿の楽隊」を作り上げました。
ケンドラーがインスピレーションを受けた「サンジュリー」とは、
フランス語で「猿」を意味する「サンジュ」をドイツ語風の単語にしたものです。
猿は18世紀半ば、人間の風変わりな面をパロディー化したモチーフとして人気がありました。
パリのシャンティイ城もスケッチや絵画の「サンジュリー」で装飾されました。
その猿たちは城の住人や客たちのように振舞い、歌い、楽器を奏で、踊り、狩りやスケートをしています。
この愉快な猿の音楽家たちのスケッチはマイセンにも伝わり、作品の原案としてケンドラーの役に立ちました。
ロココ様式で飾り立てられた「猿の楽隊」は、生き生きとした指揮者の下、全身全霊で音楽を奏でています。
芸術的な手作業で作り上げられ、衣装などディテールまで色彩豊かに絵付され、
「猿の楽隊」はどれもがケンドラーの偉大な芸術性や、マイセン磁器のオリジナル性、
比類のなさを証明しています。
1753年12月、「猿の楽隊」の最初の1つがポンパドール夫人に献呈されたのでした。
なぜ猿がモチーフとなったかについては、
「アウグスト強王のお抱えの楽士たちの下手な演奏を揶揄した」といった諸説もありますが、
マイセンでは今日まで「猿の楽隊」を作り続けています。
成型師や絵付師の代が変わっても、珍妙な「淑女と紳士達」は、変わることなく楽を奏で、
その滑稽さゆえに私たちの文化史的興味をかきたてています。
また衣装の色合いはいくつかあり、それもコレクターの楽しみのようです。
「猿の楽隊」は、今年はベートーヴェン生誕250周年を祝い「第九」を盛大に演奏しているでしょう。
(品番:60001/60022/22P、高さ:約9~17cm)(写真は楽隊の一部です)
◆「ベートーヴェン誕生250周年」記念のマグとディッシュのご紹介◆
マイセンは、ドイツの作曲家でありピアニストである
ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンの
生誕250周年を世界中の音楽愛好家と共に祝い
彼をモチーフにしたコレクションを発表しました。
2世紀以上前に大活躍したベートーヴェンに、
現代のイヤフォンをつけた絵柄がユニークです。
ハートの中の鳩が世界中に音楽を
届けているのでしょうか?
さまざまな想像をかきたてられます。
マイセン独自の手作業による
転写技法を用いて創作しました。
デュッシュ「ベートーヴェン」
フランスをはじめ、ヨーロッパで愛用されている「ヴィド ポッシュ」タイプのディッシュ。
フランス語でVide Poche、「空っぽのポケット」という意味で、ポケットに入っていたキーや小銭などの小物を入れておくプレートのことをいいます。
日常の小物入れや、食事の時にも使える便利なアイテムですので、ギフトにもおすすめです。
(品番:53274/79A717、サイズ:約18.5×21cm)
マグ「ベートーヴェン」
この四角い取っ手が特徴的なクラシカルなフォームは、18世紀半ばにヨーロッパで遺跡発掘がブームとなった際、ポンペイ遺跡の出土品を手本に生まれ、
1780年から作られている古典的なスタイルです。
当時は敷皿もありカップ&ソーサーとして使用されていましたが、今日ではカップだけの「マグ」となり朝食時などに愛用されています。
(品番:55810/79A717、容量:約310ml)
MEISSEN 新作
MEISSENメモ(82):
若きマイスター、マルティナ・スツェーアのご紹介
マイセンで絵付師として活躍している若きマイスター、マルティナ・スツェーアをご紹介します。
1986年、ドイツのチューリンゲン、シュライツに生まれ、
幼い頃より絵を描くことを得意としていました。
マイセンの絵付師と家族ぐるみの付き合いがあり、
それをきっかけに磁器絵付に大きな興味を
抱くようになりました。
2003年から2007年までマイセンの養成学校で
花絵付を学び、優秀な成績で卒業、
「現代的な花絵付」の部門で
キャリアをスタートしました。
その後専門を風景画や人物画へと変更し、
その精緻な絵付で高く評価されるようになりました。
現在では世界限定作品などのデザインも手掛けています。
*マイスターとは
ドイツには昔から「徒弟制度」があり、熟練の職人を「マイスター」として国家が認定するしくみがありますが、
マイセン製作所でいう「マイスター」は少々異なり、長年の修業と熟練、優秀さなどから
その腕前が上長に認められた場合に「マイスター」とされています。
MEISSENメモ(81):
プラーク部門の重鎮、シュテフェン・ミコシュのご紹介
マイセンのプラーク部門の重鎮として活躍しているマイスター、シュテフェン・ミコシュをご紹介します。
鮮やかな色彩が作品の特徴で、
その美しさには定評があります。
彼は1980 年から 1984 年まで
マイセン磁器製作所養成学校で学び、優秀な成績で卒業。
その傑出した才能から
すでに1990 年に、プラーク部門に配属されました。
現代マイセンの偉大なアーティスト、
ハインツ・ヴェルナー教授や
トップアーティスト、ホルスト・ブレッチュナイダーの
もとで研鑽を積み、
1998 年からはオリジナルデザインを手掛けるようになり、
ユニカート作品も制作しています。
*ユニカート作品とは、アトリエで創作者の手で絵付が
施される一点物のことで、この世に一つしかたなく
再び作られることも一切ありません。
ハインツ・ヴェルナー教授(1928-2019)
20世紀のマイセンを代表する偉大なアーティスト。
ハインツ・ヴェルナー教授が創作テーマとする「生きる喜び」が描かれた
デッサン・絵画集(和訳付き)を「マイセンオンラインショップ」で
お求めいただけます。
>>マイセンオンラインショップ
ホルスト・ブレッチュナイダー(1952-)
マイセンのトップアーティスト。
2016年に来日した折に、ホルスト・ブレッチュナイダー氏に行った
ショートインタビューを「マイセンサイト」でご覧いただけます。
>>マイセンサイト
プラーク「庭園のクジャク」
シュテフェン・ミコシュ
ユニカート作品
まず目に飛び込んでくるのは庭園の
中央に描かれた色とりどりの花。
その手前の池のほとりにカワセミと
クジャクが佇んでいます。
甲高い鳴き声のクジャクは
昔から貴族の邸宅の警備に飼われ、
百の「目」を持つその羽によって
ギリシア神話では「全知全能」、
ロココ様式の時代には愛の秘密を
垣間見る者とされました。
ミコシュが描く幻想的な光景です。
(品番:U5533/630090、
サイズ:約43×30cm)
プラーク「月夜のアルブレヒト城」
シュテフェン・ミコシュ デザイン
真夏のマイセンは、
夜9時過ぎまで明るく
人々は家族や友人と戸外で
短い夏を楽しみます。
真昼の光が影を落とす
晴れた日の夕方はあたりが
ブルーに染まる瞬間があり、
それをマイセンの絵付師たちは
「青の時間」と言って
大切にしています。
空気がきれいなマイセンならではの
ロマンティックなひとときです。
美しい色彩で定評のある
ミコシュならではのデザインです。
(品番:9M506/934055、
サイズ:約27×27cm)
花瓶「花園」」
シュテフェン・ミコシュ デザイン
限定15点
美しい青空を背景に、
色鮮やかなポピーやマーガレットが
生き生きと咲き乱れています。
小さな花瓶に広々とした
草原の世界を表現し、
金彩を豊かに施して
全体を引き締めています。
華やかな色使いが魅力的な
ミコシュの新作です。
(品番:50531/932290、
高さ:約18cm)