MEISSENメモ(101):マイセンの「デジュネ」セットについて

マイセンの「デジュネ」セットについて
 
17~18世紀のヨーロッパの宮廷で流行した、新しい飲み物を楽しむために生まれた「デジュネ」セット。
「デジュネ」はフランス語で「昼食」の意味ですが、マイセンでは、2人用の朝食用セットのことをいいます。
カップ2客、ポット、シュガーポットとクリーマーなどがお揃いのトレーにのっています。
コーヒー、ティー、そしてカカオを使った飲み物のショコラは最高の贅沢として知られ、
それを味わうための磁器は急速に発展していきました。
優れたフォームと絵柄が次々に生まれ、宮廷の話題を独占していました。
現在でも当時のフォームに新たな絵付をしたさまざまな「デシュネ」が作られています。


ティーデジュネセット「虫たちと花」*世界限定50点*
17~18世紀に東洋からドイツに伝わった小ぶりの茶器は、「コップヒェン」(取っ手のない小碗)と呼ばれ、珍重されました。
当時のフォームに、17世紀の動植物図鑑を手本として細密な虫や花が描かれました。
マイセンの大きな特徴である貼花装飾が300年前の伝統を物語っています。
品番:20A084/C8201、トレー長径:約30.5cm



このセットは、ベルリンの豪商ゴツコフスキー(1710-1775)の注文によって1741年にデザインされました。
当時の流行にならい、レリーフと花で装飾されています。
絵付には、マイセンでも長い伝統があるイタリア喜劇が選ばれ、登場人物たちが、美しい色彩のコスチュームと仮面を身に着けた姿で描かれています。
品番:29A284/C0801



ショコラテジュネセット「カサノヴァ・インコグニート」*限定作品*
本作品は、ホットショコラを味わうための希少なデジュネのセット。
「カサノヴァ・インコグニート」とは「お忍びのカサノヴァ」という意味です。
その名のごとく往時の伊達者、ジャコモ・カサノヴァのゆかりの風景を細密に描いています。
彼はヴェニスに生まれ、マイセンゆかりのドレスデンでも数年を過ごしました。
ここに描かれた美しい風景は、カサノヴァが生涯愛し続けたと言われるものです。
品番:297380/C5508、高さ:約21.5cm



デジュネセット「繊細な花絵付(FF画)」*世界限定25点*
1745年頃作られたホット・ショコラを楽しむための作品の復刻版。
銅板画を思わせる古典的な絵付で描かれたヒヤシンスは愛情を、バラは美を、カーネーションは友情を象徴しています。
FFとは、ドイツ語で、das Feinste vom Feinsten。「繊細なものの中で最も繊細なもの」という意味です。
品番:20A484/C5524、横幅:約27cm



伝統のスノーボール装飾を施したデジュネセット。
花の香りに引き寄せられた蝶からは、マイセンの優れた絵付技術が見て取れます。
金彩が白磁の美しさを際立たせています。造形と絵付、金彩というマイセンの伝統をモダンなデザインで表現しました。
品番:90A338/C8202、トレー長径:29.5cm



コーヒーデジュネセット「レモンとレモンの花」*世界限定25点*
まばゆいばかりの金の地色に、たわわに実ったレモンと清楚な花が描かれた珍しい作品です。
ゲーテが「君よ知るや南の国」で詠ったように、アルプスを越えた南の国々は、ドイツ人にとっていつも憧れの地であり、レモンはその象徴でした。
レモンとレモンの花というマイセン磁器には珍しい果物だけで描き尽くした点も見所のひとつです。
品番:245584/C1402



デジュネセット「花と蝶のファンタジー」*世界限定25点*
18世紀に活躍したマイセンのアーティスト、ヨハン・フリードリッヒ・エベラインによって1741年ごろに創作されたサーヴィスセットのフォームです。
そこに1744年、宮廷上級料理長のために、「ノイブランデンシュタイン」と呼ばれるレリーフが施されました。
美しいレリーフによって新たな魅力を得た世界限定作品です。
品番:589984/C0201、トレー長径:37cm



「金彩デジュネセット」*世界限定50点*
17~18世紀に王侯貴族の間で流行しさまざまなデジュネセットが創り出されました。
その100年後、主役は王様から裕福な市民階級に移り、ビーダーマイヤー様式という特別な様式によっていくつかの新しいフォームが生まれました。
このサーヴィスセットはその代表的なものです。贅沢に金を用いたマットな面から、浮き上がるように金の装飾文様が現れ、
豪華な中にも繊細な作品となりました。
品番:82A484/C1301、トレー長径:41.5cm


MEISSEN マイセン「養成学校」の生徒たちによるマグのご紹介

マイセン「養成学校」の生徒たちによるマグをご紹介します。
 

国立マイセン磁器製作所付属の養成学校の様子

国立マイセン磁器製作所には、
1764年に設立された付属の養成学校があります。
マイセンの絵付師たちは皆、この学校の卒業生です。
応募できるのは15歳から18歳まで。
デッサンによる書類選考後は、1週間にわたり厳しい試験が行なわれ、
合格者は4年近くこの学校で絵付を学ぶことが許されます。
最初の1年間はデッサンのみ。
修練を重ね、顔料の知識を習得し、無事卒業作品が認められた人のみが
マイセン磁器製作所に入ることができます。
その生徒たちが製作所の開窯310周年を記念し、
マグにマイセンの象徴「剣マーク」をモチーフにデザインしました。
伝統と現代のスピリットが調和した若々しい作品です。
 
 
*国立マイセン磁器製作所の絵付技術の伝統が、2016年にドイツ国内の無形文化遺産に選ばれました。
またその卓越した職人技を存続するために多大な貢献をしていることも評価されています。


マグ「剣マーク」5客セット(馬、ドラゴン、青い花、桜、ブルーオニオン)
品番:41575/79A831/835/5P、容量:各約280ml


MEISSENメモ(100):マイセンのカップ&ソーサーについて

マイセンのカップ&ソーサーについて
 
マイセンのほとんどのカップ&ソーサーのカップとソーサーの容量は、ほぼ同量であり、
ソーサーが深めで見込み線(カップを置くための線)がないことは知られています。
なぜ「ソーサーが深め」なのかは、
当時熱い飲み物が苦手だったヨーロッパの人々が熱いコーヒーをカップからソーサーに移して飲んだという説や、
上澄みの部分を飲んだ。またはカップにもソーサーにも飲物を入れて供した説など諸説あります。
それを表わしている資料として、貴婦人らしき女性が優雅にコーヒーをソーサーに移している姿や、
コーヒー好きの人々が飲む姿をユーモラスに表現された版画が残されています。
18世紀では贅沢品だったコーヒーを「白い金」と言われた高価な磁器で飲んでいたという歴史を感じますね。


書籍>>Ey! Wie schmeckt der Coffee süße<< MEISSENER PORZELLAN UND GRAPHIK
(まあ!コーヒーはなんて美味しいのかしら/マイセン磁器とグラフィックス)より
上の男性はカップを持ちながらソーサーでコーヒーを飲んでいます。

日経新聞2022年7月14日の記事より
版画/ルイ=マラン・ボネ「コーヒーを飲む女性」
貴婦人らしき女性が「すまし顔で小指を立ててコーヒーを注いでいるのでけっして下品なマナーではなかったようだ」と解説しています。



代表的なカップ&ソーサーをご紹介します。
左:型番号00582
「ノイアーアウスシュニット」と呼ばれ、1745年、ケンドラーによって創作されました。最もポピュラーなフォームです。
右:型番号05584
18世紀に生まれた「スワンのサーヴィスセット」のシリーズ。取っ手にはスワンの顔があしらわれ、ソーサーにはスワンや魚などのレリーフが施されています。



左:型番号14581
1820年頃、シェーネが創作されビーダーマイヤー様式の時代に最も人気がありました。高く持ち上がったスワンの取っ手がエレガントです。
右:型番号23582
造型家、ツェプナーによるこの「グローサーアウスシュニット」は、現代マイセンの傑作と言われていますが、伝統的なフォームのエッセンスも感じられます。
睡蓮を抽象化したデザインで仕上げられ、花や葉をイメージさせる波打つような縁が印象的です。



*マイセンの製品は、マイセンオンラインショップ や、アマゾン「MEISSEN MANUFACTORY SINCE 1710 」
楽天市場「マイセン磁器日本総代理店」 、または、マイセン リーガロイヤルショップ全国主要百貨店 でお求めいただけます。





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