MEISSENメモ(41):美術様式から見たマイセン磁器、「ロココ様式」のご紹介
美術様式から見たマイセン磁器、「ロココ様式」のご紹介をします。
設立以来、時代ごとに新しい様式を取り入れてきたマイセン。その作品群は、約23万種類にのぼり「様式の宝庫」ともいわれています。今回は、「ロココ様式」を取り入れたマイセンの作品をご紹介します。18世紀の前半からルイ15世時代(1715~1774)にかけてフランスで栄えた「ロココ様式」。繊細さ・優美さ・軽快さが特徴。ベルサイユ宮殿の庭園にあるマリー・アントワネットが好んだ場所「小トリアノン」が代表的な建築物です。「ロココ様式」はマイセンでも大流行し、ドイツ人が憧れたフランス宮廷の雅びがマイセンにも持ち込まれ、ミシェル・ヴィクトール・アシェなど、フランスから招かれた芸術家が活躍しました。「宮廷の恋人たち」の群像シリーズ。これは優雅に広がるクリノリン・スカートから「クリノリン群像」とも呼ばれる人形です。そして、フランスの画家のアントワーヌ・ワトーやフランソワ・ブーシェの銅版画のモチーフを使ったテーブルウェアなどの作品があります。また、窮屈な宮廷から離れ田園に遊びたいという気持ちから、「羊飼い」や「ぶどう絞り」といったモチーフも生まれました。この時代にアウグスト強王の孫娘、マリア・ヨゼファがルイ15世の王太子に嫁ぎました。そして、マリー・アントワネットが嫁いだルイ16世の生母となっています。この時に、マイセンとフランス宮廷を結ぶ絆はさらに深く強くなりました。
宮廷の恋人たちの群像シリーズ
原型は、1744年に天才造形師、ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー(1706~1775)によって作られたものです。女性のたっぷりとしたスカートの名称「クリノリン」が特徴的です。スカートの豊かなひだや動き、そこに施された繊細な花柄が見所。また当時流行していたインド更紗の影響も色濃く伺えます。(商品番号:左・73061/900300、右・73067/900300)
ワトーの絵柄
フランスの画家、アントワーヌ・ワトーの銅版画を手本にした絵柄。郊外で憩う男女の姿を描き、ソーサーには同色の花柄を配しています。初期マイセンに数え切れない程多くの彫像を遺し、「テーブルセッティング」の基礎となる多くの食器を作り上げたヨハン・ヨアヒム・ケンドラーが、1739年に作りました。また原型には、「ノイマルセイユ」というレリーフを施しました。角笛のような装飾と花が一面にレリーフされ、マイセンの食器類の中でも最もエレガントで古典的な作品となっています。(柄番号:273124)
花瓶「ザクセンのブドウ畑にて。集いの光景」
*世界限定25点
1771年、天才造形家ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー晩年の作品としてローマの注文主のために作られた豪華な花瓶の復刻作品です。ルイ16世様式と呼ばれる古典的なフォームの焼成には高度な技術が必要で、豊富に施された23金の豪華な装飾と共に、本作品の大きな特徴となっています。マイセンにおいてもごく僅かな絵付師にしか描くことのできない芸術的な人物画の部分は、ブドウ畑のシーンを描いており、当時貴族の間で好まれた田舎での祭りの様子が表現されています。手本となったのは、フランスの画家、アントワーヌ・ワトーやフランソワ・ブーシェの雅宴画と呼ばれる絵画や銅版画です。(商品番号:51239/29A384)
「羊飼い」シリーズ
左:羊飼いの男
原型は1750年頃、ケンドラーによって作られました。「羊飼い」シリーズは、1738年に初めてケンドラーによって作られ、その後1750年代に宮廷の「サロン」で大変人気を博しました。礼儀や規律の厳しかった当時の宮廷の人々にとって、自由気ままな羊飼いたちの人形を持つことはひとつの楽しみでもあったのです。田園で自由に遊びたいという貴族の憧れから生まれた作品といっても過言ではありません。(商品番号:61075/900300)
右:踊る羊飼いの女
原型は、フリードリッヒ・エリアス・マイヤー(1750-1763)によって作られました。音楽に合わせて軽やかに踊る羊飼いの女性。花模様の衣装がエレガントです。(商品番号:61118/900300)