MEISSENメモ(40):美術様式から見たマイセン磁器「バロック様式」のご紹介
美術様式から見たマイセン磁器「バロック様式」のご紹介をします。
マイセンは、誕生以来、時代ごとに新しい様式を取り入れ、伝統の継承と共に「磁器による表現の可能性」を追求し続けてきました。その作品群は、約23万種類にのぼり「様式の宝庫」ともいわれています。17世紀に最盛期を迎えたヨーロッパの「バロック様式」。曲線や楕円を多く用いた、豪華な装飾が特徴とされている様式です。今回は、この「バロック様式」を取り入れたマイセンの作品をご紹介します。皆様にも親しみのある「ブルーオニオン」や「スワン サーヴィスセット」のシリーズ、人形の「猿の楽隊」や「パゴダ」など。そして、18世紀の初めにつくられた大型の水差型花瓶や、エフエフ画とよばれる植物的な花柄のサーヴィスセットなどがあげられます。また、ドイツのドレスデンにあるアウグスト強王のツヴィンガー宮殿も「バロック様式」の典型として知られています。
ブルーオニオン
1739年にクレッチマーが中国写しの染付の技法を生かして完成させた「ブルーオニオン(青いたまねぎ模様)」。 この呼称は、柘榴(ザクロ)を玉ネギと間違えたため、という説明が定説になっています。中国のお皿に写実的に描かれた柘榴は、マイセンでも初期の頃には忠実に真似られていました。しかし、それもつかの間、見慣れぬ果物は馴染み深い玉ネギに姿を変え、桃のような果物、そして竹がバランスよく配置されることになりました。 組み合わされた数の神秘と共にこの図柄そのものの中にも、中国伝来のおめでたい「象徴」が描かれています。
*ブルーオニオンのアイテムは、マイセンサイト「ブルーオニオン」をご覧ください。
スワン サーヴィスセット
「サーヴィスセット」とは、コーヒー、紅茶やディナーを供するための食器セット一式のこと。皿やカップ類だけでなく、ソース入れや塩入れなど、多くの食器を包括しています。マイセンでは、ヨハン・ヨアヒム・ケンドラーが生み出し、ヨーロッパの後の卓上文化に大きな影響を与えました。ブリュール伯爵の注文で作られた「スワンサーヴィスセット」は、エルミタージュ美術館とドレスデン陶磁美術館がその一部を所有していますが、現在では完全な姿でこの2,000ピースを見ることはできません。「スワンサーヴィスセット」は、フランシス・バローの絵画がモチーフになっていますが、伯爵の庭園の噴水や、ブリュールという名前が「湿地」に由来することから、「水」をテーマに、永遠の命の象徴とされるスワン、ガラテア、魚、貝などが立体的に表現されています。
スワン ホワイト
18世紀のヨーロッパ磁器芸術の頂点と言われる「スワンサーヴィスセット」をもとに、白磁でつくられた「スワン ホワイト」。優雅なスワンがくっきりとレリーフに浮かび上がりこの上なくエレガントです。
*スワン ホワイトのアイテムは、マイセンサイト「スワン ホワイト」をご覧ください。
猿の楽隊22Pセット
原型は、1753年から1755年にかけて造形家ケンドラーによってつくられました。ケンドラーは猿を用いて、宮廷の生活やその束縛、慣習を風刺したといわれています。「人間の格好をしても、猿に理性があるわけではない。しょせん、猿は猿だ。」という当時の寓話をもとに作られた世にも珍しい作品です。アウグスト強王のお抱え楽士たちの下手な演奏を皮肉ったという説もあります。猿たちの表情と衣装の美しさがみどころです。(商品番号:60001/60022/22P)
水差型花瓶「気」
この花瓶の原型は、1741年~42年にかけて、ケンドラーによって作られました。磁器彫像の創始者といわれるケンドラーは多くの寓意像を制作しましたが、その寓意的作品の中でも特に有名なのは、四大元素(火・気・水・土)をモチーフにした暖炉の飾り棚用の花瓶(水注)です。その中でこれは「気」をあらわした花瓶です。表側は、それぞれの元素を象徴するギリシア神話の神々があらわされ、華やかに、そして豪華に装飾されています。(商品番号:81612/900300)
デジュネ「繊細な花絵付(エフエフ画)」*世界限定25点*
18世紀のヨーロッパにおいて、王侯貴族しか味わうことのできなかったホットショコラ。この美しいデジュネセットは、それを楽しむために1745年頃作られた作品の復刻版です。原型が失われていたため、原型を復刻するところから行なわれました。昔の銅板画を思わせる古典的な絵付で描かれたヒヤシンスは愛情を、バラは美を、カーネーションは友情を象徴しています。(商品番号:20A484/C5524)
ツヴィンガー宮殿
ドイツ、ザクセン州の州都ドレスデンにあるバロック様式の宮殿。マイセンの生みの親、アウグスト強王の命によって建てられました。