MEISSENメモ(89):愛らしい脚付の卵型ボックスのご紹介
愛らしい脚付の卵型ボックスをご紹介します。
18世紀から宮廷の貴婦人たちに愛好されてきた由緒あるボックス。
この愛らしい脚付の卵型ボックスは、
1850年頃に、アーティスト、エルンスト・アウグスト・ロイテリッツによって原型が作られました。
過去の芸術様式を創作の源とした彼は、この作品ではロココ様式に倣いました。
つぼみの形をした蓋のつまみや、優雅な曲線を描く猫脚が特徴的なこの卵型のボックスは、
小さいながらも完成されたフォームによって独特の存在感を醸し出しています。
エルンスト・アウグスト・ロイテリッツ
19世紀の革新的指導者。
1849年から1886年までの37年間にわたり、
マイセン磁器製作所の造形部門の責任者を務めました。
マイセンの古典的なフォームに注目し、さまざまな時代様式を組みあわせて、
新たなスタイルを生み出しました。
彼はロココ様式の復興と共に製作所のアーカイブをも甦らせました。
マイセンの古文書資料館には実に320の原型が、ロイテリッツの名前とともに記録されています。
製作所が再び世界的な名声を得る契機となった1855年のパリ万博をはじめ
数々の万国博覧会への参加も彼の主導で行われました。