MEISSENメモ(84):
マイセン磁器制作「炎のいたずら」のご紹介
マイセン磁器制作「炎のいたずら」をご紹介します。
マイセン磁器の製作は、磁土を形づくり900-950度で素焼きすることから始まります。
900度になるまで15時間、900-950度で30時間、そして15時間かけ徐々に冷ます工程が、
磁土にとって最初の「試練」であり、ここで仕上がったものが次の工程へ進みます。
下絵付(染付)の場合、素焼きしたものに絵付し、釉(うわぐすり)をかけ本焼成します。
本焼成は1450度になるまで15時間、1450度になってから30から72時間かけ、また15時間かけて徐冷します。
人形などの上絵付の場合は素焼きしたものに釉をかけて本焼成し、純白の生地を得てから絵付し、
さらに焼成します。3回目の焼成は約900度。
世界でも最高温による「焼成」は、技術的に最も困難な部分のひとつです。
炉(窯)の中では「炎のいたずら」によるさまざまなアクシデントが起こり、炉が開くまで誰にもわかりません。
中で起こる風はカップの取っ手を人形に飛ばし、立つはずのサギや馬が、
へなへなと膝をついてしまうこともあります。
気まぐれな「炎のいたずら」による事例をご紹介します。
300年以上にわたる職人たちの経験と実験によって、さまざまな対策が導き出されています。
しかし磁器の制作工程と自然の原料の予測不可能な点や、作品の複雑な構造や大きさのために、
時として作品は「炎のいたずら」によって思いもかけぬ姿で窯の中から現れるのです。