MEISSENメモ(77):人形「イタリア喜劇」のご紹介
人形「イタリア喜劇」をご紹介します。
16世紀中頃にイタリアで始まった
イタリア喜劇「コメディア・デラルテ」。
17世紀末から18世紀中頃にかけてヨーロッパに広がり、
パリでも流行っていました。
決まった登場人物たちが、
仮面や衣装を身に着けて演じるこの劇は
ドイツの宮廷でとても洒落たものとされ、
アウグストⅢ世が新しい一座を作らせたほどでした。
1770年代初め、天才造形家、ヨハン・ヨアヒム・ケンドラーが
12体のイタリア喜劇の人形を制作した時には、
「コメディア・デラルテ」への世間の熱狂は
とっくに収まっていました。
それにも関わらずケンドラーがこの新しいテーマに向き合ったことは、彼がそれぞれの役どころに魅了されていたことを
物語っています。またこの人形は、広がりつつあった擬古典主義の影響を受けています。
それは台座のレリーフ装飾や衣装、ポーズに、「古代」への立ち返りとして現れています。
ケンドラーの初期の作品と比較すると、動きは抑えられ、まとまりある輪郭により複雑なねじれや大げさなジェスチャーは
省かれています。