MEISSENメモ(47):美術様式から見たマイセン磁器、「アール・デコ」のご紹介

1710年の設立以来、時代ごとに新しい様式を取り入れてきたマイセン。その作品群は、約23万種類にのぼり「様式の宝庫」ともいわれています。今回は、「アール・デコ様式」を取り入れたマイセンの作品をご紹介します。「アール・デコ」は1910年代から30年代にかけて、フランスを中心にヨーロッパで流行した、幾何学的造形を取り入れた装飾様式です。マイセンでは大きな流れとはなりませんでしたが、マックス・エッサーの作品にアール・デコ様式の特徴がみられます。またこの頃、スイスやフランスの動物彫像の影響から、多くの動物彫像が生まれました。いずれも動物の姿態だけでなく、そこに宿る本性まで生き生きと表現しています。カワウソ、ウサギ、シカ、イヌ、シカなどがさまざまな動物が作られました。

彫像「エッサーによるヒョウ」

彫像「エッサーによるヒョウ」*世界限定50点*
力強く堂々としたヒョウの姿です。頭を僅かに傾け、見る人の視線を拒んでいるようです。この微妙なニュアンスで、造形家マックス・エッサー(1885-1945)は、ネコ科特有の近寄り難く、同時に気分屋の風情で横たわるこの動物を完璧に表現しました。エッサーの彫像はアール・デコ様式の磁器芸術の傑作とされています。エッサーはヨハン・ヨアヒム・ケンドラー(1706-1775)が創り上げたマイセン動物彫像の伝統を1920年代に更なる頂点へと導きました。偉大な動物彫塑家、アウグスト・ガウル(1840-1910)に学んだ後、エッサーは1919年にマイセン製作所に入り、1923年、マイスターのアトリエの指導者となって1924年には教授の称号を得ています。彼の時代の多くの造形家のように、彼は動物彫像を手がけ、もしかしたら動物彫像の自由さと気軽さのゆえに、伝統や倫理に縛られた人間描写よりも優れた作品を生み出しました。しかしそのエッサーのヒョウ「ルパルドゥス」もそこから自由だったわけではありません。エッサーはこのヒョウを1920年代、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749-1832)の叙事詩「ライネケ狐」をテーマにした一大セットの一部として制作しました。その中でヒョウの「ルパルドゥス」は王家の腹心であり、一員で、狐の陰謀を見抜けません。叙事詩の中では余り重要でない役どころです。しかし高価なサーヴィスセットの彫像群を可能にした独自の演出によって、エッサーのヒョウは傑出した彫像として見事に大役を果たしています。(品番:78321/900584、サイズ:高さ17cm)
白磁彫像「カワウソ」

白磁彫像「カワウソ」
原型は、1931年にマックス・エッサーがつくりました。本作品は1937年にベトガー炻器という素材でパリ万博に出展され、グランプリを受賞しました。カワウソの一瞬の動きを捉えた名作として今日では炻器と白磁の両方で作られています。(品番:78713/000000、サイズ:高さ24.5cm)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
白磁彫像「イタチ」

白磁彫像「イタチ」
原型は、1926年にマックス・エッサーが作りました。イタチの一瞬の動きを捉えた名作として作られています。(品番:78710/000000、サイズ:高さ25cm)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
彫像「ウサギ」

彫像「ウサギ」
原型はマックス・エッサーによって作られました。装飾を極端なまでに排しながら、動物の本質を一瞬のうちに磁器の中に閉じ込めたとされる逸品です。(品番:78946/900500、サイズ:高さ12.5cm)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
彫像「ヒョウ」

彫像「ヒョウ」
枝の上で虎視眈々と獲物を狙うヒョウは緊迫感に溢れ、細密に絵付されたその体は、ビロードのような毛並みまで表現しています。(品番:78934/900180、サイズ:縦18.5×横36×高さ28㎝)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
彫像「ホッキョクグマ」

彫像「ホッキョクグマ」
アール・デコ期の動物彫像の中でも、真に迫った造形で知られる「白熊」像です。オリジナルはアール・デコの造形家、ヤールによって1903年頃に作られました。白熊の重量感と毛の質感まで感じられる名作です。(品番:78793/900100、サイズ:高さ23×横幅51cm)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
彫像「2匹のグレーハウンド」

彫像「2匹のグレーハウンド」
アール・デコ期の偉大なアーティスト、オットー・ピルツ(1870-1934)が1910年に原型を作り、20世紀のマイセン動物彫像の傑作とされている作品です。グレーハウンドのしなやかな肢体と2匹が相戯れる様子が躍動感をもって表現されています。18世紀にはじまったマイセンの動物彫像は、動物の姿形だけでなく、そこに宿る野生の魂まで描くことで知られていますが、その伝統が20世紀においても受け継がれていることがわかる逸品です。(品番:78701/900180、サイズ:高さ26cm)
 
 
 
 
 
 
 
彫像「鹿」

彫像「鹿」
アール・デコ期の優れた造形家、エーリッヒ・エーメが1938年に原型を作りました。硬質白磁が誕生する以前に生まれた赤茶色のベトガー炻器は、白磁が生まれるとすぐに作られなくなってしまいましたが、その優れた彫塑性から、アール・デコの時代に見直され、多くの優れた動物彫像が創作されて今日に至っています。本作品においても堂々とした牡鹿の姿が見事に表現されています。(品番:86157/000002、サイズ:高さ56cm)
 
 
 
 
 
 
 
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