愛らしい脚付の卵型ボックスをご紹介します。
18世紀から宮廷の貴婦人たちに愛好されてきた由緒あるボックス。
この愛らしい脚付の卵型ボックスは、
1850年頃に、アーティスト、エルンスト・アウグスト・ロイテリッツによって原型が作られました。
過去の芸術様式を創作の源とした彼は、この作品ではロココ様式に倣いました。
つぼみの形をした蓋のつまみや、優雅な曲線を描く猫脚が特徴的なこの卵型のボックスは、
小さいながらも完成されたフォームによって独特の存在感を醸し出しています。
エルンスト・アウグスト・ロイテリッツ
19世紀の革新的指導者。
1849年から1886年までの37年間にわたり、
マイセン磁器製作所の造形部門の責任者を務めました。
マイセンの古典的なフォームに注目し、さまざまな時代様式を組みあわせて、
新たなスタイルを生み出しました。
彼はロココ様式の復興と共に製作所のアーカイブをも甦らせました。
マイセンの古文書資料館には実に320の原型が、ロイテリッツの名前とともに記録されています。
製作所が再び世界的な名声を得る契機となった1855年のパリ万博をはじめ
数々の万国博覧会への参加も彼の主導で行われました。
MEISSENメモ(88):アーティスト、デトレフ・リッターのご紹介
アーティスト、デトレフ・リッターをご紹介します。
1961年マイセン生まれ。
幼い頃から自然観察に親しみ、絵を描く仕事に興味をもっていました。
1977年から4年間、マイセン磁器製作所付属の養成学校で学び、
鳥・魚・野生動物の絵付を専門に習得。
1999年からは製作所の開発部門で絵付師・造形家として活躍し、現在に至っています。
2000年には駐日ドイツ大使館の展示会で
プラークとユニカート(一点物)作品を発表しました。
動物を解剖学的に研究し、フィールドワークでは動物の行動を年月をかけて観察。
細密なものから、印象派のようなデザインまで、その作風は多岐にわたります。
「道端の小さなものにも敬意を払い、心と魂を込めて、自然の世界を再現したい」と
語っています。
MEISSENメモ(87):絵付師、ヴィクトリア・シュトライヒェルトのご紹介
絵付師、ヴィクトリア・シュトライヒェルトをご紹介します。
マイセンのトップアーティスト、ホルスト・ブレッチュナイダーの
後継者として、今最も注目されている絵付師の一人、
ヴィクトリア・シュトライヒェルト。
彼女は、ドレスデン造形職業教育センターで教育を受けてから、
2011年にマイセンの養成学校に入った異色の存在です。
豊かな創造性と優れた技術から卒業と同時に
マイセンのプラーク部門に配属されました。
伝統的なマイセンの絵柄に新風を吹き込むマイスターとして活躍し、
2021年のリミテッドエディションのプラークも手掛けています。
マイセンオンラインショップでは、夏におすすめの
シュトライヒェルトのサインが裏面に入った稀少な逸品、
カップ&ソーサー「ヒマワリ」を販売中です。
*マイスターとは
ドイツには昔から「徒弟制度」があり、熟練の職人を「マイスター」として国家が認定するしくみがありますが、
国立マイセン磁器製作所でいう「マイスター」は少々異なり、長年の修業と熟練、優秀さなどから
その腕前が上長に認められた場合に「マイスター」とされています。
「波の戯れ」シリーズのコーヒーカップは、
縦長で大きな絵付には適していませんが、
敢えて大輪のヒマワリを描いた意欲的な作品です。
ソーサーにも淡い色合いでグラデーションをつけ、
ヒマワリの葉の色と調和させています。
品番:932279/28582
*この作品はマイセンオンラインショップでお求めいただけます。
マイセンオンラインショップ、カップ&ソーサー「ヒマワリ」