マイセン の2016年イヤードール「凧を持つ少年」をご紹介します。
「イヤードール」は、20世紀初頭に登場した人気シリーズ「ヘンチェルの子供たち」の精神を受け継いだアルフレッド・ケーニッヒ(1871-1940年)が、「子供」シリーズとして制作した作品の復刻版です。ケーニッヒは1897年にマイセン磁器製作所に入り、ヘンチェルと共に、マイセンのアール・ヌーヴォーを代表するアーティストとなりました。彼はヘンチェルと創作活動を行ない影響し合いましたが、目指したところは一つ、「子供を、日常の光景の中で自然に表現すること」でした。「イヤードール」シリーズは、2014年から始まり、その名前の通り発表された年に限り制作・販売される限定作品で、底部に金でその年の年号が入れられます。3作目となる2016年は「凧を持つ少年」です。
左から
*2016年「凧を持つ少年」
大切な凧を上げようと、風を待つ少年の人形です。淡い色合いの服装や仕草にアール・ヌーヴォーの特徴がよく現れています。品番:73802/900195、高さ:15cm
*2015年「麦わら帽子を持つ少女」
今、まさに出かけようとする夏の日の散歩のため、少女は可愛らしい夏服を着て、麦わら帽子を手にとり、優しい面差しの顔にかかる髪の毛をかけ上げています。風になびくスカート、少しかたむいた姿など、マイセンの高い技術が伺える作品です。品番:73801/900195、高さ:20.5cm
*2014年「少女とネコ」
ネコを見つめる少女の優しく楽しげな眼差しとは対照的に、左腕に載せられ少し不機嫌そうなネコと、突然抱え上げられビックリしたのか目を丸くした表情を見せるネコ、彼女に遊ばれる2匹のネコの表情も細かく表現されています。品番:73800/900195、高さ:12cm
*マイセンの製品は、全国主要百貨店 でお求めいただけます。
MEISSENメモ(37):マイセン「ベトガー炻器」のご紹介
マイセン「ベトガー炻器」のご紹介をします。
「ベトガー炻器」
マイセンの創始者、アウグスト強王の命を受け、錬金術師、ヨハン・フリードリッヒ・ベトガーによって、ヨーロッパ初の白磁を発明するのに先立って作り出されたのが赤茶色の焼物でした。それは炻器といい、その記念碑的な価値から「ベトガー炻器」という名称で呼ばれています。炻器は膠塊粘土(こうかいねんど)と呼ばれる鉄を含んだ茶褐色の土で作られています。白磁の焼成の成功以降は次第に顧みられなくなりましたが、二十世紀に入ると、彫塑(ちょうそ)に適した特性が見直され、再び動物彫像など多くの作品がこの製法で作られるようになりました。
MEISSEN 2016年世界限定作品:ティーキャディー「蓮の花と蔓」
300年以上の長きにわたり、芸術的な名品を創り続けてきた、国立マイセン磁器製作所―。膨大な量の資料と原型をもとに毎年発表される復刻作品や新作は、すでにコレクターの間で確固たる評価と地位を得るに至っています。 芸術品と呼ぶにふさわしい作品群からは、マイセンの高い技術と伝統が伝わってきます。
ティーキャディー「蓮の花と蔓」*世界限定50点
このティーキャディーのフォームが300年以上前からあるというのは信じられないようなことです。すっきりとした造形によってモダンな印象が生まれています。1710年にマイセン磁器製作所が設立された頃から、このフォームは中国のお手本に倣って作られてきました。当時はまだ白磁ではなく「ベトガー炻器」という焼物でしたが。四角い平らな面が絵付にうってつけであることから、磁器絵付師たちは代々、このフォームに描くことが好きでした。さまざまな中国の絵柄から、いつも新たな絵付が可能だったからです。非常に単純でシンボリックなフォーム。真四角は円と並んで完璧なフォームとされています。天の方角、四季、自然界の四つの要素、そして人間の情熱――。四(角)は人生のさまざまな場面で登場します。四角は人間によって作り出される秩序の原理、正方形は秩序とその維持の総括概念です。ティーキャディーの前面と背面、純度の高い金で際立たされた蓋のつまみ、それらすべてが真四角の形をしています。おごそかに四角に分けられた面の中で、装飾が遊んでいます。描かれているのは、蓮の花を様式的に描いた昔の絵柄です。蓮の花は、アジアの広い地域で純粋、忠実、想像力の象徴とされています。高温で焼成されると釉薬の奥に深く沈み込んでいく耐火性顔料の青がモチーフに特別な深みと奥行きを与え、それらを純度の高い金による繊細な線画が際立たせています。流れるように自然に描かれたラインが厳しさのある四角とコントラストを成しています。対照的なものを魔法のように扱い、完璧な調和が生まれました。
商品番号:52M07/589884、高さ :約11.5cm