MEISSENメモ(91):マイセンの偉大なアーティスト、ヘンチェルのご紹介

マイセンの偉大なアーティスト、ヘンチェルをご紹介します。
 

Julius Conrad Hentschel(1872-1907)

19世紀後半、アール・ヌーヴォー様式の頃にマイセンで大活躍した
偉大なアーティスト、ユリウス・コンラート・ヘンチェル。
この時代の芸術家は他で名を成して、マイセンによばれた人が多かったのですが、
ヘンチェルはマイセンの町に生まれ、マイセン製作所の養成学校で学んだ
生粋のマイセン人です。
当時すでに200年の伝統を持ち、クラシックな磁器を作り続けていたマイセンに、
彼はアール・ヌーヴォー様式の新風を吹かせ、多くの愛らしい子供の人形を
作りあげました。
子供のあらゆる姿、しぐさ、表情を生き生きととらえ独自のスタイルを確立しました。
その代表作である「ヘンチェルの子供たち」は、今なお世界中のファンに
愛されています。
来年は生誕150周年。マイセンでは記念の特別エディションが発表されました。


人形「ヘンチェルの子供たち」
左から、「犬を見つめる子供」品番:73369/900100、高さ:約9cm、「ミルクを飲む子供」品番:73364/900100、高さ:約17cm
「人形と遊ぶ子供」品番:73363/900100、高さ:約11cm、「絵本を見る子供」品番:73354/900100、高さ:約10cm
「ネコを抱く少女」品番:73367/900300、高さ:約12cm、「眠る子供と犬」品番:73368/900300、高さ:約7.5cm



上段:人形「ミルクを飲む子供」品番:73364/900100、高さ:約17cm
おもちゃを傍らに部屋着を着てマイセンのブルーオニオンのカップでミルクを飲んでいる子供。
大人の視線にまったく気づいていない、まるで時間が止まったかのような日常のひとこまです。



ヘンチェル生誕150周年記念作品人形
特別エディション*世界限定75点*
「ミルクを飲む子供」品番:73364/90A380、高さ:約17cm
これまでにもさまざまな絵付の人形が発表されてきましたが、新たにカラーオニオンの洋服をまといました。


MEISSENメモ(90):幸福の象徴、人形「パゴダ」のご紹介

幸福の象徴、人形「パゴダ」をご紹介します。
 
頭と手がゆるやかに動く「パゴダ」。頭はうなずくように前後に動き、手は手招きするように動く珍しい人形です。
この東洋人のような個性的な作品の原型は1740年、ヨハン・ヨアヒム・ケンドラーとヨハン・フリードリヒ・エベラインという
初期のマイセンの天才的な造形家によって作られました
本来、パゴダとは仏塔のことですが、18世紀中頃に中国趣味(シノワズリー)がもてはやされた頃のヨーロッパでは、
東洋を象徴する建築物を表すと考えられていました。
この人形が典型的な東洋のイメージを表現していたために「パゴダ」の名称がつけられたとされています。
衣装の絵付は天才的な絵付師、ヨハン・グレゴリウス・ヘロルトが「インド文様」と呼ばれる東洋的な柄を考案しました。
また恰幅のよいお腹には、中国から伝わった布袋様の人形にも影響を受けたというその片鱗を見ることができます。
神聖ローマ帝国のプロイセン王、フリードリッヒ2世は特にこの人形を好み、マイセンに10体以上注文して、
それらは現在もドイツのサンスーシー宮殿に展示されています。
「憂いがない」という意味の「サンスーシー(無憂宮)」は、王の夏の離宮として1747年に建てられました。
ヴェルサイユ宮殿にも匹敵するロココ様式の宮殿で、「音楽の間」や中国式のあづまやなど、
趣味豊かな王を彷彿とさせる作りとなっています。
特に福々しいこの人形は「憂いを晴らす」のに最適だったようです。
(*人形「パゴダ」は作られた時により衣装の色・柄が異なり、サイズも数種あります。)


人形「パゴダ」
品番:(男)67817/900380 (女)67823/900380、各高さ:約15cm

人形「パゴダ」
品番:(男)67817/90A069 (女)67823/90A069、各高さ:約15cm

人形「パゴダ」
品番:(男)67817/90A149 (女)67829/90A149、各高さ:約15cm


MEISSENメモ(89):愛らしい脚付の卵型ボックスのご紹介

愛らしい脚付の卵型ボックスをご紹介します。
 
18世紀から宮廷の貴婦人たちに愛好されてきた由緒あるボックス。
この愛らしい脚付の卵型ボックスは、
1850年頃に、アーティスト、エルンスト・アウグスト・ロイテリッツによって原型が作られました。
過去の芸術様式を創作の源とした彼は、この作品ではロココ様式に倣いました。
つぼみの形をした蓋のつまみや、優雅な曲線を描く猫脚が特徴的なこの卵型のボックスは、
小さいながらも完成されたフォームによって独特の存在感を醸し出しています。

エルンスト・アウグスト・
ロイテリッツ

(1818-1893)

エルンスト・アウグスト・ロイテリッツ
19世紀の革新的指導者。
1849年から1886年までの37年間にわたり、
マイセン磁器製作所の造形部門の責任者を務めました。
マイセンの古典的なフォームに注目し、さまざまな時代様式を組みあわせて、
新たなスタイルを生み出しました。
彼はロココ様式の復興と共に製作所のアーカイブをも甦らせました。
マイセンの古文書資料館には実に320の原型が、ロイテリッツの名前とともに記録されています。
製作所が再び世界的な名声を得る契機となった1855年のパリ万博をはじめ
数々の万国博覧会への参加も彼の主導で行われました。


卵型ボックス「楽を奏でる妖精」*世界限定25点*
品番:52774/27A184、高さ:約16cm
卵型ボックスに、横笛を吹く妖精を描いた作品。
珍しい黒の地色に白い顔料を薄く塗り重ねるリモージュ風絵付で、草花や妖精の羽が繊細に描き分けられています。

卵型ボックス「花の肖像画」*世界限定50点*
品番:52774/208784、高さ:約16cm
この花絵付の手法は、カミーロ・マルコリーニ伯爵(1739-1814)がマイセン磁器製作所の総監督であった時代に生まれました。
美しい花々が艶消しの金の地に描かれ、ロココ様式の猫脚が華麗な雰囲気を高めています。マイセン珠玉の逸品です。

卵型ボックス「瑠璃柄」
品番:52774/101470、高さ:約16cm
「王の青」と呼ばれる高貴な瑠璃色の地色に、金彩が施された白磁の窓枠を取り、
そこにマイセン伝統の美しい花絵付を描きました。

卵型ボックス「天使の戯れ」*限定15点*
品番:52774/27A037、高さ:約16cm
若きマイスター、マルティナ・スツェーアが愛らしい絵付をデザインしました。
彼女の作品の特徴である繊細な人物画と、優しい色合い、そして豪華な金彩がこの小さな作品に凝縮されています。



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