MEISSENメモ(106):「春」をテーマにしたプラークのご紹介

「春」をテーマにしたプラークをご紹介します。
 
「春」や「春の花」をテーマにした美しいプラークをご紹介します。
プラークの歴史は古く、絵付の可能性を求めた熟練の絵付師が食器の絵付と並び、1753年に「磁板の上に絵を描く」ことを始めました。
マイセン磁器の生みの親、アウグスト強王の息子、アウグスト3世が磁器よりも絵画の収集に熱中した影響も大きくありました。
イタリア、フランス、オランダの名画の模写からは、絵付師たちの並々ならぬ手腕をみてとることができます。
この「絵画的絵付」が後に「プラーク」(陶板画)となって、マイセンの大きなジャンルに発展しました。


額装プラーク「桃の花」
トップアーティスト、ホルスト・ブレッチュナイダーが、特別にデザインした作品。
水溶性顔料を用い、背景に溶け込むような描き方で桃の花の表情を繊細に捉えています。日本の影響もうかがえる色彩の美しい作品です。
品番:96210/932220A、額装サイズ:約35×29.5cm



プラーク「春」
美しいドイツの春をトップアーティスト、ホルスト・ブレッチュナイダーがデザインしました。清々しい小川のほとりに花々が咲く田園風景です。
心地よい水音が聞こえてきそうな作品です。
品番:9M105/933003、サイズ:約22×22cm



プラーク「春」
現代マイセンのトップアーティスト、ホルスト・ブレッチュナイダーが2012年に60歳を迎えたことを記念して制作された「四季」プラークの「春」。
華やかな色彩が、春の陽気な雰囲気を生み出しています。
品番:96210/932215A、額装サイズ:約31×25.5cm



プラーク「春」
現代マイセン造形の名手、ザビーネ・ワックスがデザインした「四季」をテーマにしたプラークの一つ。
葉の陰から覗き込むような可愛らしいフォームもワックスがデザインしました。豊かな抒情性が魅力です。
品番:9M769/933010、サイズ:約15.5×15.5cm



プラーク「春の花」
現代マイセンを代表するアーティストの一人、フォルクマール・ブレッチュナイダーによるデザイン。
彼は数多くの美しい花絵付を描きましたが、このプラークでは花々がまるで春の風に吹かれているかのような動きを見せています。
主張の強すぎない落ち着いた色合いが、趣のあるデザインです。
品番:9M302/932064、サイズ:約28.5×38cm


MEISSENメモ(105):マイセン磁器「パイプオルガン」のご紹介

マイセン磁器「パイプオルガン」をご紹介します。
 
マイセン磁器の生みの親、アウグスト強王にとって、マイセン磁器でパイプオルガンを作ることは悲願でした。
マイセンの町の広場に建つ聖母教会に設置したマイセン磁器製の鐘を作ることは出来ても、
高い精度が必要な本格的な楽器の制作は困難を極め、18世紀初頭に強王が依頼してからなんと約300年もの歳月を要しました。
これは「マイセン最長の納期」と語り草になっています。
造型家、ルードヴィッヒ・ツェプナーの研究と情熱、
そしてオルガン制作に200余年の歴史を有するイェムリッヒ社の協力によって、
世界初のマイセン磁器を使用したパイプのオルガンが2001年に完成しました。
磁器芸術の最高傑作の一つと言われています。
マイセン美術館では、折に触れてこのオルガンによる演奏会も開催されています。


2001年に完成した、マイセン磁器のパイプオルガン



現代マイセンの造形家、ルードヴィッヒ・ツェプナー

 
ルードヴィッヒ・ツェプナー/Ludwig Zepner
 
1931年、シレジア(現ポーランド領)のマルクヴィッツに生まれる。
1948年、17歳で国立マイセン磁器製作所に入り、1年間絵付を学び、
その後3年間、成型を学びました。
1954年にベルリンの応用美術大学に入学。
卒業後マイセン製作所に戻り、さらに研鑽を積みました。
マイセン磁器製作所の未来を担うために作られた
そして「芸術の発展を目指すグループ」の一員となり
多くの名作を生み出しました。
現代マイセンのフォームは、ツェプナーの卓越した造形感覚に負うところが大きいと評されています。
自然観察の中から生まれた彼が考案したフォーム「グローサー・アウスシュニット」は、
「ブルーオーキッド」「アラビアンナイト」のテーブルウェアに用いられています。
白鳥をイメージしたポットには独特の優美な雰囲気があります。
2001年、化学者のような探求心をもって実験を重ね、磁器によるパイプオルガンを完成させました。


マイセンの町の広場に建つ聖母教会。時間がくると美しい音色が響き渡ります。


MEISSENメモ(104):
人形「ホットチョコレートを運ぶ女性」のご紹介

人形「ホットチョコレートを運ぶ女性」をご紹介します。
 
この人形は1745年頃、フランス系スイス人の画家、ジャン・エティエンヌ・リオタール(1702-1789)によって描かれた、
「ホットチョコレートを運ぶ女性」をもとに作られました。
食べるチョコレートよりも歴史の古い飲物ホットチョコレートは16世紀後半にスペイン人によってヨーロッパに広まり、
最高の贅沢な飲物として宮廷の話題を独占していました。
リオタールの絵の女性も、宮廷の侍女がモデルと言われています。
この絵画は最も美しいパステル画と評され、アウグスト強王の息子のコレクションに入り、
現在もドレスデンのツヴィンガー宮殿、アルテ・マイスター(絵画ギャラリー)に収蔵されています。

人形「ホットチョコレートを運ぶ女性」
品番:73431/900300、高さ:約18.5cm



当時、ホットチョコレートを味わうための磁器が急速に発展し、優れたフォームと絵柄が次々に生まれ、宮廷の話題を独占していました。
カップの揺れを防ぐための支えである「トランブルーズ」が施されたり、蓋付きのものなどもあります。
飲み方もフランス流にカップを両手で持って飲むスタイルで、カップの両側に取っ手がついており宮廷でもてはやされました。
絵画のカップにも「トランブルーズ」が描かれており、人形が運んでいる器にも再現されています。



左)絵画「ホットチョコレートを運ぶ女性」(82.5×52cm)
右)ツヴィンガー宮殿、アルテ・マイスター(絵画ギャラリー)(ツヴィンガー宮殿はマイセン磁器の生みの親、アウグスト強王によって建設された宮殿です。)




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