MEISSENメモ(111):ベトガー炻器に花絵付を施した、ボトル「春の花」のご紹介

ベトガー炻器に花絵付を施した、ボトル「春の花」をご紹介します。
 
アール・ヌーヴォー様式の時代に活躍したスコットランドのデザイナー、マッキントッシュの水彩画を基に、ケシや三色スミレ、ゼニアオイ、ホタルブクロなど、春の花をベトガー炻器のボトルに描きました。
さらに金彩のアクセントを加え気品ある作品に仕上げました。
白磁が発明される前に誕生した赤茶色の焼物は、発明者の名前にちなみ「ベトガー炻器」と呼ばれています。
ベトガー炻器に使える顔料は限られているため、微妙な花の色や表情を表現するには、色の濃さを変えて繊細なニュアンスを生み出すという高い絵付技術を要します。

ボトル「春の花」*世界限定25点*
品番:70A284/85645、高さ:約29cm

優しい色合いの春の花々

磁土を型に流し込む。

絵付の様子

ベトガー炻器
マイセン磁器の生みの親、アウグスト強王の命を受けた錬金術師、ヨハン・フリードリッヒ・ベトガーによって誕生したヨーロッパ初の硬質白磁。
それに先だって同じくベトガーにより作り出されたのが赤茶色の焼物でした。
それは炻器といい、その記念碑的な価値から「ベトガー炻器」という名称で呼ばれています。
炻器は膠塊粘土(こうかいねんど)と呼ばれる鉄を含んだ茶褐色の土で作られています。
白磁の焼成の成功以降は次第に顧みられなくなりましたが、二十世紀に入ると、彫塑(ちょうそ)に適した特性が見直され、再び動物彫像など多くの作品がこの製法で作られるようになりました。

ヨハン・フリードリッヒ・ベトガー
(1682年2月4日-1719年3月13日)
ベトガーは初め薬剤師の教育を受けその後錬金術師として注目を集め1701年(ベトガー弱冠19歳)からドレスデンなどで活躍し始めました。
その頃にアウグスト強王に見いだされ、1705年に白い金と称される白磁製法の発明を命じられました。
ベトガーは自然科学者でもあった
エーレンフリート・ワルター・フォン・チルンハウス(1651-1708)のアドヴァイスを受けながら研究に没頭し、1709年艱難辛苦の末白磁製法の解明に成功しました。
そして、1710年ついにヨーロッパ初の硬質磁器窯「マイセン」が誕生しました。
しかしノウハウが他国にもれることを恐れた強王にアルブレヒト城に軟禁され、やがてベトガーは精神的重圧から酒を飲み過ぎたことや、狭い所でさまざまな薬品を吸い続けたためか、10年後にわずか37歳の若さでこの世を去りました。
アルブレヒト城には「ベトガーの間」があり、ドレスデンの公園にはベトガーの記念碑が建っています。
マイセンの町に行かれましたら、白磁製法の生みの親であるベトガーの軌跡をぜひ訪ねてみてください。

ボトル「春の花」


MEISSENメモ(110):マイセン伝統の技法「透かし彫り」のご紹介

マイセン伝統の技法「透かし彫り」をご紹介します。
 

透かし彫りの制作風景

マイセンでは18世紀の初め頃からプレートの縁にレースのような装飾技法「透かし彫り」(メッシュ彫りやカットワークとも言われています)が施された飾皿が作られていました。
この技法は、焼成前の柔らかな磁土を息を詰め、細心の注意を払って一つひとつの文様を切り取る、という大変な手間をかけて作られるものです。
まさに熟練の手技が必要です。
この手仕事の極みともいえる「透かし彫り」が施された豪華なプレートは、18世紀の半ばには最盛期を迎え、籠目や連続する楕円文様などいくつかの種類が生まれました。
飾皿「桜」*世界限定25点
品番:54M73/255684、径:約25.5cm
透かし彫りが、あたかも籠のようにプレートを囲み、中央には自然主義の手法で桜の花を描いています。

飾皿「クジャクとモクレン」*世界限定25点
品番:54M66/57A284、径:約25.5cm
クジャクの絵付はペンと筆を用いて、精緻さと柔らかさのコントラストを生み出しています。

飾皿「花と果物」*世界限定50点
品番:54M66/210184、径:約25.5cm
マイセン初期の絵付技法による瑞々しい花と果物が描かれています。フォームとデザインがこの上なく優美な調和を見せる逸品です。

飾皿「バラの絵付」*世界限定50点
品番:54M73/138384、径:約26cm
透かし彫りによる造形、贅沢な金彩できらびやかに彩った見込み部分、満開のバラの絵付―。すべてにマイセンの伝統が凝縮されています。

飾皿「鶴」*世界限定50点
品番:54M67/61A174、径:約25.5cm
レリーフで表現された白鳥がたゆたう湖の上を飛翔する鶴。白磁を生かした大胆な構図です。

飾皿「貼花のあるプレート」
品番:54M71/208184、径:約25cm
繊細に描かれた葉がバラを取り囲み、花の女王を引き立てています。
縁の装飾には淡い彩色が施され、フォームと絵付による調和のある全体像を際立たせています。

飾皿「実りの秋」
品番:54804/24A052、直径:約29cm
豪華な飾皿に実りの秋が表現されています。果物を得意とするアーティスト、ホルスト・ブレッチュナイダーらしい作品です。

飾皿「蔦をからめるトケイソウ」*世界限定75点
品番:54M72/20A384、径:約26cm
トケイソウ(和名:時計草)は、マイセン磁器に描かれることは非常に珍しく、虫を配した18世紀的な伝統の画法を用いながら、グリーンとピンクによって独特な新しさも醸し出されています。

飾皿「エキゾチックな鳥」*世界限定50点
品番:54M33/26A073、径:約29cm
透かし彫りと金彩が、エキゾチックな鳥や昆虫たちを美しく飾り、エレガントな逸品に仕上げました。

飾皿「チューリップ」*世界限定25点
品番:25A174/54M33、径:約29cm
春を告げるチューリップが自然主義の手法で描かれ、光と影、絶妙なグラデーションで繊細に美しく表現されています。(日本未入荷)

飾皿「チューリップ」


MEISSENメモ(109):絵柄「ドラゴンメロディー」のご紹介

絵柄「ドラゴンメロディー」をご紹介します。
 

現代マイセンの偉大なアーティスト、ヴェルナー教授(1928-2019)が考案した美女と戯れるドラゴンのユーモラスでファンタジックな世界を表現したシリーズ「ドラゴンメロディー」をご紹介します。
ヴェルナー教授の力強い言葉、「誰も龍を見たことはない。私は私のドラゴンを描く。」と共に生まれたこのシリーズは、あたかも現代版「美女と野獣」のようでもあります。
美女たちの奏でる楽の音までが聞こえてきそうな作品です。











ハインツ・ヴェルナー教授
(1928-2019)

ハインツ・ヴェルナー教授
20世紀のマイセンを代表するアーティスト。
マイセン近郊コスヴィヒ生まれ。1943年にマイセン製作所に入ったヴェルナーは、早くから動物や鳥の絵付で頭角をあらわし、1959年に「芸術の発展をめざすグループ」の設立メンバーとなり、多くの新しい作品や陶板画など磁器芸術に新境地をひらきました。
今回ご紹介した「ドラゴンメロディー」をはじめ、「アラビアンナイト」「サマーナイト」「ブルーオーキッド」など、メルヘン、幻想、自然の光と影、夢、それらを生命の充溢の中に描いています。


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