マイセンの「古文書資料館」をご紹介します。
国立マイセン磁器製作所には、300余年にわたる磁器制作の記録を保存している文献室「古文書資料館」があります。
一つの工房で創立当初から現在に至るまでの記録を網羅しているヨーロッパ最古の文献室といわれています。
ここには、硬質磁器の誕生までを書き残した報告書をはじめ、顔料の調合書、制作報告書など4,000冊以上のファイルや、製品写真が入った約 8,000 枚のネガガラス、約700 冊のカタログなどもあります。
またマイセンの歴史や美術史などにに関する書籍は7,000冊以上も収蔵しています。
今日でもこの貴重な資料館にある絵柄や原型収蔵庫の型を基に、300余年で培われてきた現在の最高の技術をもって復刻作品や新しいシリーズなどが作られています。
MEISSENメモ(112):
マイセン最古の作品の一つ「バラスター装飾花瓶」のご紹介
マイセン最古の作品の一つ「バラスター装飾花瓶」をご紹介します。
1710年にマイセンが誕生した初期の頃、マイセン磁器は制作者たちがそれまで携わってきたものの影響を受けました。
銀や銅の細工師たちが、それぞれの習得した技を新しい素材である磁器に応用しようとしたのです。
「バラスター装飾花瓶」の原型となったものは、マイセン磁器製作所のコレクションの中でも最も古く、宮廷金銀細工師、ヨハン・ヤコプ・イルミンガー(1635-1724)の作品として知られています。
花瓶のフォームやレリーフは、錫や銀の器が制作上の手本であったことを思い起こさせます。
中でも花瓶の上部に施されたレリーフは、寝台の天蓋などに用いられたひだつき垂れ布の銀細工装飾を思わせます。
(バラスターとは階段の手すりの支えや家具などに多様されたデザイン装飾で18世紀に流行しました)
MEISSENメモ(111):ベトガー炻器に花絵付を施した、ボトル「春の花」のご紹介
ベトガー炻器に花絵付を施した、ボトル「春の花」をご紹介します。
アール・ヌーヴォー様式の時代に活躍したスコットランドのデザイナー、マッキントッシュの水彩画を基に、ケシや三色スミレ、ゼニアオイ、ホタルブクロなど、春の花をベトガー炻器のボトルに描きました。
さらに金彩のアクセントを加え気品ある作品に仕上げました。
白磁が発明される前に誕生した赤茶色の焼物は、発明者の名前にちなみ「ベトガー炻器」と呼ばれています。
ベトガー炻器に使える顔料は限られているため、微妙な花の色や表情を表現するには、色の濃さを変えて繊細なニュアンスを生み出すという高い絵付技術を要します。