マイセン磁器の発明者、ヨハン・フリードリッヒ・ベトガーをご紹介します。
ヨハン・フリードリッヒ・ベトガー
(Johann Friedrich Böttger)
(1682年2月4日-1719年3月13日)
ベトガーは初め薬剤師の教育を受け、
その後錬金術師として注目を集め、
1701年(ベトガー弱冠19歳)からドレスデンなどで活躍し始めました。
その頃にアウグスト強王に見いだされ、
1705年に白い金と称される白磁製法の発明を命じられました。
ベトガーは自然科学者でもあった
エーレンフリート・ワルター・フォン・チルンハウス(1651-1708)の
アドヴァイスを受けながら研究に没頭し、
1709年艱難辛苦の末白磁製法の解明に成功しました。
そして、1710年ついにヨーロッパ初の硬質磁器窯「マイセン」が誕生しました。
しかしノウハウが他国にもれることを恐れた強王にアルブレヒト城に軟禁され、
やがてベトガーは精神的重圧から酒を飲み過ぎたことや、狭い所でさまざまな薬品を吸い続けたためか、
10年後にわずか37歳の若さでこの世を去りました。
アルブレヒト城には「ベトガーの間」があり、ドレスデンの公園にはベトガーの記念碑が建っています。
マイセンの町に行かれましたら、白磁製法の生みの親であるベトガーの軌跡をぜひ訪ねてみてください。
『ベトガー炻器』について
ベトガーが白磁製法に成功する前に作っていた焼物は、赤茶色をした『炻器』といわれるものでした。
膠塊粘土(こうかいねんど)という鉄を含んだ茶褐色の土で作られます。
白磁製法の発明後も作られていましたが、次第に顧みられなくなりました。
しかし20世紀に入ると、彫塑に適した特性が見直され、再び彫像などの作品が『炻器』で作られるようになりました。
また、その記念碑的な価値から『ベトガー炻器』という名称で呼ばれています。
『炻器』の存在感には白磁と異なる魅力があります。
マイセン磁器製作所で2019年に開催されたベトガーの特別展では、この『炻器』にも焦点があてられました。
炻器で作られた彫像/彫像「漂う父なる神」
表現主義のアーティスト、エルンスト・バルラッハが、
1922年に原型を作りました。
創世記にある神の天地創造をモチーフとしています。
20世紀初頭、主にドイツで盛んだった表現主義は
内面など目に見えないものを可視化し芸術作品にしました。
また輪郭を強調するという特徴も本作に現れています。
祝福と創造という身振りが印象的に前面に出ている一方、
身体の曲がり方や漂っている瞬間をとらえた造形が、
この作品をより魅力的なものにしています。
第一次世界大戦の戦場に立ったことから、
反戦を訴えるようになったバルラッハ。
包み込むような神の手に温かさを感じる本作には、
そのような背景も見えてくるようです。
神的なものの中にある人間的なものを見出そうとした
バルラッハならではの作品です。
MEISSENメモ(72):「ブルーオニオンの秘密」その3のご紹介
「ブルーオニオンの秘密」その3をご紹介します。
「柘榴」(オニオン)と「桃」と「花」の配置とその数をご覧ください。
この図案には、隠された「数」の秘密があります。
柘榴、桃、花の3つの柄は
それぞれ正方形に配置されています。
正方形(4角形)が3つできることで
生じる数、4×3=12。この「12」の数は、
半日の時間や1年の月、
そして星座の十二宮にも通じる、時の完全な調和を表します。
また、「3」は宇宙の三つ組である
「天・地・人」「誕生・一生・死」「初め・中間・終わり」
「過去・現在・未来」とみなされています。
そして3の倍数で12の半数である「6」は、
天地創造の6日目に神がアダムを創ったことでもわかるように
「創造の数」とされています。
「ブルーオニオン」でおもてなしをする時に、このような秘密のお話しを披露してみてはいかがでしょうか。
話題も広がり楽しいひとときになることでしょう。
MEISSENメモ(71):「ブルーオニオンの秘密」その2のご紹介
「ブルーオニオンの秘密」その2をご紹介します。
「柘榴」(オニオン)と「桃」の配置されている所をご覧ください。
絵柄の配置には意味があり、
柘榴と桃が八角形の角に描かれています。
円と正方形の仲介者とされる八角形は、
「大地」を意味しています。
4つずつ交互に配された柘榴と桃は、
4つの要素から成り立つ季節や方角など、
限られた人間の空間や地上の生活を表しています。
またこの図案は円形を基本に考えられており、
「円」は無限と宇宙を意味し、
絶えず変化する「時」のシンボルとされています。