18世紀後半に誕生した花絵付「マルコリーニの花」をご紹介します。
「マルコリーニの花」は、カミーロ・マルコリーニ伯爵(1739-1814)が国立マイセン磁器製作所の総監督であった時代に生まれ、「マルコリーニ手法」とも呼ばれています。18世紀後半、新古典主義の時代の花絵付は、独特なチューリップ絵付と小花の組み合わせに特徴があります。均整のとれた配置、茎部分の硬直感や花の茎部分の短さが見受けられます。中でも黒と黄の抑えられた色合いで描かれたチューリップは「レンブラントチューリップ」と呼ばれ、黒いバラと並んで人気がありました。硬さのあるデザインでありながらも、鮮やかな色彩のものもあり、現在でもコレクターがいるほどの人気ある花絵付です。
カミーロ・マルコリーニ伯爵(1739-1814)
Camillo Graf Marcolini
1774年にマイセンの最高責任者となり、1814年まで大きな働きをしマイセンに一時代を築きました。1763年に終わった七年戦争の影響で国立マイセン磁器製作所も苦境に陥っていましたが、マルコリーニ伯爵の尽力によって独自のスタイルの花絵付が生まれ、それらは「マルコリーニの花」とよばれて今日まで人気を誇っています。マルコリーニの時代には剣マークの柄の間に星印*が描かれることが多く、それもひとつの歴史になっています。